HLB-XはHLBの改良タイプで、同様のくさびによる一体化構造の技術を用いております。高負荷荷重を繰り返し加えても、初期与圧量を長期間保持することができます。それが回転体及び軸受の長寿命化にもつながります。
HLB-XBは、HLBの強力な戻り止め機能は維持したまま、最大の課題であったナット本体の重心バランスを六角形状にして補正したタイプで、回転機器の釣り合い良さを大幅に改善することが可能となります。
(軸受の予圧とは)
一般に軸受は運転状態において、適当なすきまを与えて使用することが多いが、 用途によっては軸受組付け時に負のすきまとなるように、あらかじめアキシアル荷重を与えて用いる場合がある。
このような使い方を予圧といい、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受に適用することが多い。
ベアリング適正な予圧量で保持されていないか、されていても長期間保持ができていないと以下のトラブルが起こる。
⇒〇フレーキング、〇かじり、〇スミアリング、〇欠け、〇割れ、〇クラック、〇保持器の損傷、〇圧痕、〇摩耗、〇フレッチング、〇フォールスブリネリング、〇焼付け
現行のHLB同様に、日本の伝統技術「くさび」をボルト・ナットの隙間に打ち込む構造がねじを一体化させ、ねじのゆるみを完全になくす究極のゆるみ止めロックナット。今回のXBは締付けナットの凸ナット座面にワッシャフェイスをつけることで、ベアリングの外輪への接触をなくし、ゆるみ止め機能を持たせた偏心形状の凹ナットを締めつけることで、現行HLB同様の強力な戻り止め効果を発揮させる。
2.1ユンカー式軸直角ゆるみ試験
凹凸ナット初回締付け後、その製品を更に5回締め戻し後、10回締め戻し後の各試験結果を下記のデータに示します。激しい振動に対しても戻り止め機能が低下しないことがこの実験データからわかります。(1回目と同条件で試験を実施)
2.2万能試験機によるねじ山せん断強度試験
同材質の一般ロックナットに比べ、HLB同様HLB-Xもセットした場合、ねじ山数が約2倍となるため、ナット全体のねじ山強度も2倍以上の実験結果となっています。
凹凸ナットはそれぞれが一般ナット同様にねじ山は変形していないため、キー溝加工したシャフトに何十回締め戻しを行った場合でも、ボルト・ナットのねじ山を傷つけることはありません。
凹凸ナットは、一般ロックナット同様にねじ山を変形させていないので、指締めで第一ナットを軸受に着座させることができます。次に、一般スパナで簡単に凸ナットを締付け、最後に凹ナットを同じくスパナで約1回転させれば締付けが終了。舌付き座金を折り曲げる作業の手間が省けるので、作業時間は大幅に短縮することができます。
現行品は舌付き座金を折り曲げる必要あり
一般スパナ一丁で締付け簡単良好
現行のHLBでは以下の2パターンの使い方をしていたが、それぞれ課題があった。
A.大きな荷重が繰り返しかかる場合は ねじ山数が多い凸ナットを先に締めてから、凹ナットロックしてください。
課題:凸ナットがベアリングの外輪に接触する場合は使えない
空白用
B.回転体の重心調整が必要な場合は、チャンファーのついている凹ナットを先に締めつけ次に、偏心している凸ナットを徐々に締めつけて、回転体のバランスを整えてください。
課題:凹ナットはねじ山が少ないため、ナットの傾きが大きく、高負荷には強度不足
HLB-Xに関しては、それぞれの課題を解決した形状となっている。
・凸ナットを座付きにすることで、ベアリングの外輪に接触することがなくなる。
・ねじ山数が多い凸ナットから締め付けることで、高負荷の繰り返し荷重にも対応できる
・凸ナットはねじ山数が多く、ねじ精度が向上されており、座付きになっているため、ナットの傾きが軽減されている
A:外輪に凸ナットが接触する。ねじ山が多く重荷重に対応
B:外輪に凹ナットは接触しない。ねじ山が少なく重荷重は不可
座付きの凸ナットなので軸受外輪に接触せず、
ねじ山数が多いので、重荷重にも対応可能
凸ナットには座がないので軸受の外輪に接触
座付きにしたので軸受の外輪に接触しない
面圧分布測定システムI-SCAN(ニッタ製)にて面圧測定を実施
HLBの面圧測定状態
HLB-X面圧測定 凹左360度回転、右450度回転時
最初に凸ナットでベアリングを固定した後に、偏心している凹ナットを全体の重心のバランスがとれる位置で、ある程度調整することが可能となる。「 → 」が偏心最大の位置を表す
7.1従来品はもちろん、改良型HLB-Xに比べても座面圧の偏りが改善
対策1
締付けナットをねじ山数の多い凸ナットに統一する
空白用
対策2
締付けナットの凸ナットの座面にワッシャフェイスを付与し、座面圧を一定にさせる
空白用
対策3
ねじ精度を6Hから5Hにすることで、ねじ間の隙間が小さくなり傾きが軽減
空白用
対策4
従来品は締付けナットの凸ナット側を偏心させていたので偏心側の座面圧が大きく偏っていたが、新製品は凹ナット側を偏心させ、その構造も見直すことで、座面圧が1点に偏らず、分散させることに成功した。
7.2重心バランス構造で、回転機械における釣り合い良さを大幅改善