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ゆるみ止め部品の種類とその効果

ゆるみ止めとは、予張力(軸力)の低下を防止するものです。ゆるみ止め部品はねじの使用条件が様々で、サイズも使用分野も多岐にわたります。
ここでは有効性の視点で3つに分類して説明します。

1初期ゆるみ対策
2軸力消失防止(戻り止め):
戻り止めとしての機能でナットの脱落・紛失の防止が主体。
3戻り回転防止(ゆるみ止め):
締付け軸力や圧縮力に依存しないで回転抵抗を備えたもの。

 

1.初期ゆるみ対策

種類:
ばね性座金方式

ねじ締結時の初期軸力の消失を補うタイプ。 ばね座金、皿ばね座金等


効果:
座金方式タイプがこれにあたります。代表的なものは、ばね座金(スプリングワッシャー)や皿ばね座金です。
これらは初期軸力の消失を補う機能であり、座面の滑りを確実に防止する機能は備わっていないため、ナットの戻り回転によるゆるみを防止することは難しくなります。

 

2.軸力消失防止(戻り止め)

種類:
(1)機械的回り止め方式

ナットが動かないよう、強制的にボルトへ固定するタイプ。
溝付きナット+割りピン、ワイヤーロック、舌付き座金、脱落防止用板ばね等

溝付きナット+割りピン(コッターピン)3)

 
(2) ねじ部密着度増加方式

「おねじ」と「めねじ」のはめ合い隙間を可能な限り小さくするタイプ。タッピンねじ、コイル状インサート等

 
(3) 戻しトルク増大方式

 
効果:

ある程度の軸力低下は発生するものの、それ以上は低下しないのが戻り止めタイプで、目的はナットの脱落防止です。
これらの方式は効果の高いものと、単に分解防止用と考えられるものなど色々な種類があります。種類はプリべリングトルク形タイプ、フリースピニング形タイプ、機械的回り止めタイプ、ねじ部密着度増加タイプなどです。

その中でも、プリべリングトルク形タイプには世界中で多くの種類が存在し、軸力消失度合いは商品によって性能差が大きく異なります。
機械的回り止めタイプである溝付きナット+割りピン(コッターピン)やワイヤーロック、舌付き座金に関しては、理想通りの適切な取付け状態のものであれば、品質が厳しい航空宇宙・防衛産業にも採用されるくらい信頼性の高い対策であり、軸力低下はほとんど発生しません。

ただ、適切に取付けるためには、特別な知識と技術が必要な作業となるため、航空宇宙・防衛産業以外の作業工数の削減が必要な業界では、現実的な対策とはいえません。逆に中途半端な取付け状態は、ナット脱落防止対策にしかならず、軸力低下起因のボルト折損事故につながりますので注意が必要です。

 

3.戻り回転防止(ゆるみ止め)

 
種類:
(1)ダブルナット方式

下側のナット、上側のナットを順に締付けた後、羽交い締め(ロッキング)を行うことで、はめ合いねじ部の遊びを取ることにより確実なロッキングを行い、ねじ部の摩擦を増大させ
ナットの戻り回転を防止するものです。以下の2種類の方法があります。

 
ここで注意すべきは、一般的によく見受けられる締付け方法として、単に下ナット、上ナットを順に締付けるだけ(図1 (b)の状態まで)では、ロッキング効果はほとんど得られないことです。ゆるみ止めをもたらすロッキング力を得るためには、上ナット正転法、下ナット逆転法いずれの場合を選択しても、最後のステップの羽交い締めまで(図1(c)の状態まで)必ず行うことが要求されます。

 

 

ダブルナット使用におけるねじ山の接触・負荷状態9)。F1、F2、F3は軸力、FLはロッキング力。(b)の段階では下ナットのねじ山には負荷がかかっていないことに注意。

 
(2)嫌気性接着剤、接着剤入りカプセル付きボルト

ねじ面に嫌気性接着剤を塗布して、ねじ面間の狭い隙間を硬化させ戻り回転を防止するものです。締付け時に塗布作業するタイプとカプセル封入された接着剤をあらかじめねじ部に付着させたタイプがあります。

 

嫌気性接着剤使用時のナットの締結時におけるねじのかかり具合。

 
(3)ハードロック方式

ハードロックナットの場合は、このはめあいねじ部の遊びを取り除くのに、日本古来の木造建築で使われている「クサビ」を利用しております。
凹凸の2種類のナットで構成されており、締付けナットであるクサビ型の偏心加工を施した凸ナットを最初に締付け、次にロックナットの役割を持つ真円加工の凹ナットをかぶせるように締付けることで、凸ナットのねじ部全体がボルト側に押し付けられ、一方で凹ナットのねじ部全体が逆側のボルトねじ部に押し付けられる作用が働きます。

 

ナットの高さ全体のねじ部遊間を左右から取り除き強固な戻り回転防止を実現

*詳細は「ハードロックナットはなぜゆるまないのか」をご覧ください。

 
効果:

軸力の低下をほとんど許さない部類のもので、戻り回転によるゆるみに対する性能が最も高いとみなされています。
但し、ダブルナットの場合、2種類どちらかのロッキング方法(羽交い締め)を作業現場で完全に再現できるかというと非常に難しいのではないかと思われます。中途半端な締結状態は逆にゆるみの原因にもなりますので、羽交い締め作業が困難な現場では、別の対策が必要です。

嫌気性接着剤の場合もダブルナットと同じように正しい手順で作業を行わなければ、十分なゆるみ止め効果は発揮されません。

一般的なものでは、最初にボルトを完全脱脂し接着剤を塗布した後、約24時間乾燥させることで完全に固着します。但し、この条件下で作業できる箇所は非常に限定され、汎用的ではありません。
また、作業終了後に、完全に固着できているのかの合否判断をできないことが、現場での使用を難しくしている原因の一つです。

一方、ハードロックナットの場合には、凸ナットをお客様の設定値で締付けていただき、凹ナットを弊社の規定値で締付けるだけで、様々な振動や衝撃に対してもナットの戻り回転を起こさず、初期軸力の低下を防ぐ製品となっております。
また、ダブルナットや嫌気性接着剤と違い、締付けの経験がない方でも、簡単に最高レベルのロッキング状態の実現ができ、さらに再使用も可能ですので、高い締結力が必要となる様々な箇所において、無くてはならないゆるみ止めナットとして世界で認識され始めております。