ハードロックナットは、なぜゆるまないか?

ハードロックナットは「クサビ」の原理でゆるみ止め効果を実現

ねじがゆるむ原因は、ボルトとナットのねじのガタ(遊間)にあり、それを完全になくすことが出来れば理想のゆるみ止め効果を実現出来ます。弊社のゆるみ止め効果は古くから木造建築で使われている「クサビ」を利用しています。弊社では研究を重ねこの「クサビ」の原理をナットに応用した商品を開発しました。その画期的な商品がハードロックナットです。

下図のようにボルトとナットの隙間にクサビを打ち込むことができれば、クサビを打ち込んだ側と反対側のボルト・ナットのねじのはめあい隙間は、それぞれ押し付けられねじのガタが(遊間)がなくなります。

ただし、現実的ではありません。しかしクサビ方式は強力なゆるみ止めが実現できることから研究を重ね、第2ナットにクサビを打込むハンマーの機能をもたせ、さらに第2ナットとクサビを一体化するためにナットの中心軸を偏芯させた円錐上の凸部を設ける発想にたどり着きました。同時に第1ナットにクサビを受ける凹部を設けることでボルトへの加工を必要としない画期的なゆるみ止め機構が完成しました。

「クサビ」の原理のゆるみ止め効果_01
「クサビ」の原理のゆるみ止め効果_02
「クサビ」の原理のゆるみ止め効果_03
「クサビ」の原理のゆるみ止め効果_04

ゆるみ止め構造

ゆるみ止め構造

ハードロックナットは、凹凸2種類のナットで構成されています。

凸ナット①はねじ軸からaだけ偏芯加工した円錐面を設けています。一方凹ナット②はねじ軸に真円加工した円錐面をもつ構造になっています。ボルトに凸ナットを締込み、続いて凹ナットを締め込むことで凹ナットとボルトの間に凸ナットの偏芯した円錐面があたかもクサビを打込むように侵入し、ナットのねじ面をボルトのねじ面に押し付けることでクサビの原理による強力なロック効果を力学的に発生させます。

 

この偏芯構造は凸ナット①が凹ナット②のロックを行い、凹ナット②が凸ナット①のロックを行うという、言わば相互にロックを行う効果を有します。この為ボルト軸力に関係なくゆるみ止め効果を発揮させることが可能です。したがって、ハードロックナットはボルト軸力を高くすることが困難な木材やプラスチックといった部材への締結にも優れたゆるみ止め効果を発揮させることができます。

また、先に締め付ける凸ナットはお客様の設定した軸力で締め付け、相互ロックのために締め付ける凹ナットは当社推奨のトルクで締め付けることで緩み止めを行うという機能分離を実現します。

このため、凸ナット、凹ナットそれぞれは螺入の際に普通のナットと同様に螺入でき、凸凹ナットの円錐面が摺動した状態で締込むことでお互いのロッキングが始まります。

当社では凹ナット締付けの際のボルト軸力変化を抑制するように円錐部分の形状を設計することで安定なボルト軸力管理を提供しております。そのため、特殊な状況でない限り凹ナットによるロッキングの際に凸ナットを保持する必要がなく、単純に凸ナット⇒凹ナットの順番で締め込むことでゆるみ止めを実現できます。

また凸ナット①にクサビ構造を持たせることで、クサビを引き抜くことが可能になりナットの再使用が可能になりました。

ハードロックナットは偏芯させた円錐構造により機能を実現しているため、ナットの素材や表面処理に対する制約が少なく、広範囲の条件、環境で使用いただけます。

原理解説の動画