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ねじゆるみ試験の種類と試験方法

ゆるみ試験には、下表1のような形式があります。その中でも代表的なゆるみ試験として、軸直角振動(ユンカー式)と衝撃の加振式(NAS式)があります。それぞれの試験内容について以下に紹介します。

尚、ねじのゆるみ評価は非常に難しく、明確な国際基準は現時点では定まっていません。代表的なユンカー式軸直角振動試験、NAS式衝撃加振試験であっても、航空宇宙分野で使用されるねじについての試験評価方法で、あくまでもねじのゆるみが生じない限界値による評価であり、単純にねじがゆるんだ、ゆるまなかったではなく、どの条件でゆるんだのか、ゆるまなかったのかを客観的データに基づいた評価でなければ意味がないということになりますので、くれぐれもご注意ください。

表1.ゆるみ試験形式の説明
試験形式 説明
軸直角振動
(ユンカー式)
固定板と振動板とを試験ボルト・ナットで締結し、振動板に軸直角方向の外力を加えて振動変位させる。変位は回転成分が入らない平行変位だけとする。
軸回り振動 トルク式 固定板に対し振動板にトルクを加えてボルト軸の回りに回転変位させる。変位は平行変位を含まない回転変位だけとする。
加振式 振動板にアームを設けてその先に重りをつける。固定板を振動台に載せ加振することで回転変位を起こさせる。
軸方向荷重増減 ボルト頭及びナット座面にそれぞれ金具をあてがい引張試験機で軸方向の負荷を繰返す。
衝撃 加振式
(NAS式)
試験ボルト・ナットで締付けたねじ締結体を鉛直方向の長穴内に横たえ、長穴の本体を振動台で上下に振動させ長穴の上下端で軸直角方向の衝撃を加える。
落下式 試験ボルト・ナットで二つの円筒を締付けた締結体を一定の高さから落下させ、二つの円筒を軸方向に分離させるような衝撃を加える。
ハンマー式 固定体と衝撃受け板とを試験ボルト・ナットで締結し、衝撃受け板にハンマー振り下げによる軸直角方向の衝撃を加える。

*吉本 勇編:JIS使い方シリーズ ねじ締結体設計のポイント (改訂版),日本規格協会 (2002).

 

軸直角振動(ユンカー式)
ISO 16130: 2015
(Aerospace series vibration test)

G.H.ユンカーは、1966年にDRAHT-Welt誌において、主として軸直角方向の動荷重が作用する継手について行われた試験の中で、通常のねじ締結体はもちろんのこと、いわゆるゆるみ止めねじ締結体でも完全にゆるみ回転させることができることを発表しました。つまり、軸直角繰返し荷重が自己弛緩を起こすために最も過酷な条件を与えることを試験の中で確認しているのです。

この結果をもとにユンカー式軸直角ねじゆるみ試験方法が考案。ドイツでDIN 65151を経てDIN 25201で規格化され、2015年には、航空宇宙分野に限定されてはいますが、ISO 16130として正式に国際規格化されました。

ユンカー式軸直角振動試験では固定板と振動板とを試験ボルト・ナットで締結し、振動板にボルト軸直角方向の外力を加えて振動変位させます。固定板側にロードセルを配し、ねじ締付け時の締付けトルクとボルト軸力の関係や、ねじのゆるみであるボルト軸力の変化を常にモニターできるため、ゆるみ解析には有効な試験と言えます。この規格では、振動変位の大きさ、駆動周波数などの試験条件と試験結果の判定基準を設定しており、メーカー毎の測定条件のばらつきを抑制しています

ユンカー式振動試験装置の主要部例

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NAS(National Aerospace Standard:米国航空宇宙規格)式

NAS試験は米国航空宇宙規格で定められたゆるみ止め評価試験です。

衝撃カラーとワッシャーをボルト・ナットで締付けたねじ締結体を垂直方向の長穴を有する枠体ごと振動台で上下に振動させます。枠体の長穴上下端にねじ締結体が衝突する際に生じる軸直角方向の衝突衝撃でナットとワッシャーとの摺動、ボルトのたわみ等多様な力がかかり、ナットをゆるませる力が発生します。

試験では、振動周波数を1750-1800 c.p.m.とし、30000サイクル(約17分)振動させた状態で振動によるボルトとナットの相対回転が360度(1回転)以内であることをゆるみの限度としていますが、30000サイクルまでにナットがゆるんだ場合、ゆるむまでの時間(振動回数)で比較評価します。

NAS試験はナットがゆるむ過程の軸力変化を測定することが困難なことと、衝撃発生バラツキが発生することから、ねじのゆるみの相対比較には有効ですが、ねじのゆるみの詳細な解析に用いることは困難と考えられています。

加振式衝撃ゆるみ試験(NAS式)装置の主要部例

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