NAS3350/3354(米国航空規格)ねじゆるみ試験に基づき、更に当社オリジナルの厳しい加振試験をおこなっても十分合格に値する結果が出ました。ゆるみ止めナットとして鉄道や高速道路、橋梁、鉄塔などを締結するハードロックナットは様々な振動や衝撃を受けますが、この実験データはハードロックナットがどんな衝撃に対しても安定締結状態を保つことを証明しています。他の汎用ナットとのデータと比較してもハードロックナットの優秀性は一目瞭然です。
試験動画
元湘南工科大学で日本ねじ研究協会理事である大橋先生他に様々な角度から検証していただき、(有)岩田鉄工所殿に製作依頼をおこなった。この試験の特徴として、初期軸力(締結力)が様々な条件設定によってどの程度低下していくかを数値とグラフによって確認できるもので、NAS3350のような派手さはないものの、確実に数値化できるということで、欧州においてはすでにねじゆるみの評価試験方法となっている。
■試験条件
試験サイズ:M10~M16
振幅幅:±0.25mm~±1.5mm
振動周波数:1~30Hz
軸力:1~80kN
PDFファイル
No. | 試供品 | 破断荷重 |
---|---|---|
1 | 一般ナット | 9,050kg |
2 | 一般ナット | 8,950kg |
3 | ハードロックナット | 9,800kg |
4 | ハードロックナット | 9,800kg |
サイズ:M16×P2.0 材質:SS400 |
■アムスラーによる引張実験
<締付トルクとボルト軸力の関係>
ハードロックナットの場合、ダブルナットと異なり、上ナット(凹)を締付けてもボルト軸力が上がらない為トルク・軸力管理が可能となります。
※ただし、ハードロックの上下ナット間の隙間が完全になくなった時点からは若干軸力が上昇しますので、くれぐれも、上ナット(凹)の締め過ぎには十分注意してください。
試供品 | 品名 | サイズ | 材質 | 締付トルク | 下ナット | 上ナット | 軸力変化量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
No.1 | ハードロックナット | M10×P1.5 | SS400 | 25N・m | 1.6 | 1.6 | 0% |
No.2 | ハードロックナット | M10×P1.5 | SS400 | 25N・m | 1.45 | 1.45 | 0% |
No.3 | ダブルナット | M10×P1.5 | SS400 | 25N・m | 1.65 | 1.8 | 9% |
No.4 | ダブルナット | M10×P1.5 | SS400 | 25N・m | 1.8 | 2 | 11% |
※ここでの締付トルクとは、下ナット、上ナット共通のトルクである。 sまた、ハードロックナットの場合、下ナットは凸ナット、上ナットは凹ナットである。 |
「規定トルク状態にある上ナットを少しずつゆるめてみる」
ハードロックナットの場合、どんな環境においても完全締結状態を維持しますが、「締付作業において、万一完全に締付けていなかったら」という想定のもとに、45°戻した場合でもハードロックナットM12のトルクは半分以上残っていました。そして、更に、この状態で振動試験を行ってみましたが、結果、ゆるみは生じませんでした。
内在するロックエネルギーの大きさを改めて確認してもらえると思います。つまりハードロックナットならたとえ完全に締付けていない場合でも、ゆるまないという結果が出たわけです。